アントニオ・タブッキ追悼朗読会

アントニオ・タブッキ追悼朗読会のご案内です。 予約・お問い合わせ: tabucchi2012@gmail.com

「レクイエム アントニオ・タブッキ追悼朗読会」開催に寄せて

 

まだ寒さの残る3月の終わり、アントニオ・タブッキがリスボンで亡くなったことを知りました。

死の報せはいつも突然、なんの遠慮もなくわたしたちの生活に飛び込んできます。最初はタブッキがいなくなってしまったことにただ呆然とし、やりきれない思いで過ごしていました。
1週間ほど経ったある日、書棚から彼の本を1冊手にとりました。そして、ひらいたページの言葉を何気なく声に出して読んでみたのです。

それでも、海は、そこにあったから、彼はそれを眺めている。船が、カモメが、雲が、海をわたって行く。

『遠い水平線』のある1ページ。目に入った一節が声となったとき、ふと心がおだやかになったことに気づきました。
追悼朗読会を思いついたのは、そのときです。ひとりひとりがタブッキの本を持ち寄り、輪になって、声をつないでいく。ひびきあう声が、魂を呼び合って、タブッキへのレクイエムとなるのではないかと。
そして、それはまた同時に、たいせつなひとを亡くしたわたしたちにとっても、意味のあるグリーフワークになるのではないかと思ったのです

彼の命日から数えてちょうど2ヶ月後、2012年5月25日に「レクイエム アントニオ・タブッキ追悼朗読会」を開催します。
いまは霧のむこうへ行ってしまった作家にわたしたちの声が届くことを信じて。

2012年4月25日(水)

アントニオ・タブッキ追悼朗読会実行委員会 発起人 大山もも代